公共工事の入札における「建設工事」と「役務」の違いとは
公共工事は、国や地方自治体などの公共機関が発注者となり、税金を原資として実施される事業である。
そのため、発注や契約にあたっては透明性と公平性が強く求められ、原則として入札制度が採用されている。
公共工事の入札を理解するうえで重要なポイントの一つが、「建設工事」と「役務」という発注区分の違いである。
まず建設工事とは、建設業法に基づき定義される工事を指す。
具体的には、建築工事、土木工事、舗装工事、電気工事、管工事など、一定規模以上の工事を伴い、完成物が形として残るものが該当する。
建設工事の入札に参加するには、建設業許可の取得が必須であり、さらに経営事項審査(経審)を受け、その結果に基づく等級や格付けによって参加できる案件の規模が制限される。
これにより、施工能力や経営基盤の弱い業者が無理に大規模工事を受注することを防いでいる。
一方で、役務とは、工事そのものではなく、業務の遂行やサービスの提供を目的とする契約形態である。
公共分野では「役務の提供等」とも呼ばれ、建設分野においては、設計業務、測量業務、地質調査、施工監理、施設管理、清掃、警備などが該当する。
役務の入札では、建設業許可や経営事項審査が不要な場合が多く、代わりに業務実績や技術者資格、業務体制などが評価対象となる。
この違いは、入札方式や契約内容にも影響する。
建設工事の入札では、予定価格や最低制限価格が設定され、価格競争に加えて施工体制や技術力を評価する総合評価方式が多く採用されている。
一方、役務の入札では、価格だけでなく提案内容や実施方法を重視するプロポーザル方式や随意契約が用いられるケースも多い。
また、契約後の責任範囲にも違いがある。
建設工事では、完成した構造物に対する契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が発生するのに対し、役務では業務成果物や業務内容が契約条件を満たしているかが主な評価対象となる。
公共工事の入札に参加する企業にとって、自社の業務が「建設工事」に該当するのか、それとも「役務」として扱われるのかを正しく理解することは極めて重要である。
区分を誤ると、必要な資格や手続きを満たせず、入札参加が認められない可能性もある。
公共事業に携わるうえでは、入札制度の仕組みと発注区分の違いを正確に把握することが、安定した受注への第一歩となる。
